こんにちは、住まいる水道のウルウルです。
今日はトイレのタンクについて説明をさせていただきます。
私に言わせてもらえれば、トイレのタンクは非常に良く設計されており、各部の部位が非常に絶妙な働きをしている、人類の知彗がつまった奇跡のボックスなのです!!(・・・かなり大げさでしょうか?)
そもそも、トイレタンクの正式名称は?
トイレタンクの名称は「ロータンク」と言います。
何故ロータンクなのか?
それは、もともとトイレのタンクにハイタンクという種類のものがあり、それに対して低い位置にあるタンクなので、ロータンクという名前がつけられたようです。
ハイタンクは言葉の通り、高い位置にあるタンクのことで、高低差を利用して勢い良く排水を行うことができます。今では見かけることが少なくなってきましたが、古めの公共のトイレでたまに見ることが多いです。
何故ロータンクなのか?
それは、もともとトイレのタンクにハイタンクという種類のものがあり、それに対して低い位置にあるタンクなので、ロータンクという名前がつけられたようです。
ハイタンクは言葉の通り、高い位置にあるタンクのことで、高低差を利用して勢い良く排水を行うことができます。今では見かけることが少なくなってきましたが、古めの公共のトイレでたまに見ることが多いです。
それでは、図を見ながら、水の流れの順にタンクの部位を説明していきましょう。

まずは給水プロセス ~ボールタップについて~
まずは給水入り口から水が入ってきますが、この水は当然流れっぱなしではありません。水がタンクに適量に溜まったら、水がタンク内に入ってこなくなる装置がついているのです。それがボールタップです。ボールタップはトイレのタンクだけではなく、受水槽などいろいろな場所で使われている優れモノです。
ボールタップの仕組みと安全構造
すごく簡単に説明しますと、このボールタップの浮き玉の部分が、タンクの水位に合わせて上下するのですが、その動きに合わせて接続されている軸の根元の部分についているバルブが開閉するようになっています。
ですので、タンクが空になって浮き玉が下がきっている時にはバルブが全開状態になり、最大量の水が入ってきます。そしてタンクに水が溜まってくるにつれて浮き玉が上昇し、バルブが徐々に閉まって流入量が減っていき、やがてはバルブが全閉になり、水が止まる仕組みになっています。
また、万が一ボールタップが壊れて、水が際限なくタンク内に入ってくるようになっても、オーバーフロー管というものがついていて、その管を通して便器に水が逃がされる仕組みになっていますので、二重に溢れ対策がされているわけです。
排水プロセス ~排水弁とフロートバルブ~
給水は以上で、次は排水になります。 排水はタンク横(真ん中だったりするタイプもあります)のレバーをまわすとチェーンが引っ張られて、黒いゴム材質のフロートバルブが排水弁本体から引き上げられます。
すると、タンクに溜まった水が排水弁下に接続された洗浄管から便器に流れ込んでいきます。(説明図ですとチェーンがフロートバルブ上部のリング状のストッパーの外側を通っていますが、本来はリングの中を通っていて、フロートバルブが排水弁にちゃんと収まるようになっています。これは私がイラストレーターに不慣れであったのと、時間の都合から修正ができなかったためこういった絵になってしまいました・・・。)
フロートバルブと排水弁の巧妙な仕組み
フロートバルブは名称こそフロート(float:浮く、浮かぶの意)ですが、図のタイプの物は単体で浮かんでくるほどの浮力を有していません。排水のプロセスの中で、フロートバルブは浮かぶのではなく、「浮かばされる」のです。
タンクが満水の時は当然、かかってくる水圧がフロートバルブを上から押さえつけていますが、一度排水レバーを最上部(リングのところ)まで引き上げると、フロートバルブは水圧から開放されます。それと同時に排水弁に勢い良く水が流れ込んでいきます。
通常ですと、排水弁に流れ込む水の勢いに引っ張られて再びフロートバルブが排水弁に蓋をしてしまうのですが(「小」を流す時のすぐに水が止まるメカニズムがこれです)、「大」側にレバーをひねった場合には、不思議なことに大量の水が放出されてタンク内の水位がフロートバルブより下になるまで、一度上がったフロートバルブは降りてきません。

実はこのフロートバルブの仕組みは、排水時の水流を利用しています。 どういうことかと説明しますと、排水弁のごく周囲では、排水弁に向かって引き込まれる水の流れが発生しているのですが、ある程度(数センチ)排水弁の真上に行きますと、先ほどの排水弁に向かって引き込まれる流れから作り出された上昇流が存在しているのです。
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こんな感じで上昇する水流が発生している |
この上昇流とフロートバルブの適度な浮力があるので、「大」側にレバーが回された時には、チェーンによってフロートバルブが上昇流が発生する高さまで引き上げられ、「小」側にレバーが回された時にはフロートバルブが上昇流の高さまで届かず、引き込み流に引っ張られて排水弁に戻ってくるのです。 そうしてタンク内の排水が進んで水位がフロートバルブを下回ると、フロートバルブの浮力も上昇流もなくなって、重力によって元にあった排水弁の上に戻ります。
また、この排水の工程でタンク内の水位減少に合わせて、給水システムであるボールタップのバルブが開き始めますので、徐々に水が上部から供給され始めます。 排水の洗浄管は太いので、排水量が、ボールタップの全開時の最大給水量を上回ることはなく、タンク内の水位は排水弁が下がりきるまでは減少し続けます。
最後は貯水プロセス
排水が終わって貯水に移行する 排水弁がフロートバルブによって蓋をされた状態になると、今度は上部で全開になっているボールタップからの水が溜まり始めます。フロートバルブの浮力は水に浮き上がらない程度になっていますので、タンクの水位が上がってきても浮いてはこず、逆に水圧に抑えられて排水弁の蓋として機能します。
フロートバルブはこの他に、二重の排水弁構造を持っているタイプなどもありますので、この解説はあくまで限定的なものです。
どうでしょうか?身近な存在であるトイレタンクには、こんなにもたくさんの優秀かつ高度な機能が詰め込まれているんです。そして最近のトイレは、もっともっと進化しているようです。
でも、分解してみたくなった人は注意して下さい。特に手洗い機構が上部についているタンクは、上の蓋を外すだけで水浸しになったり、復旧が難しかったりもします。仕組みがわかった上で、修理の相談はわたくしたち、住まいる水道にお声をかけていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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理科好き少年です。すごくおもしろかったです。ありがとうございます。水洗トイレにこんな絶妙な仕組みがあったなんて驚きです!「水洗トイレの水がちょろちょろ流れて止まらない」と母が言うのでタンクの中を見てみました。浮き球をちょっと上げたら水は止まったんですが、下の栓の動きが不思議だったので検索してみました。この説明が一番詳しくて面白かったです。
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