以前にトラップや封水について説明させていただきましたので、今回はトラップを語る上で欠かすことの出来ない「サイフォン現象」についてまつわるお話しをさせていただこうと思います。
まず始めに、前回排水トラップの役割について説明する時に使ったS型トラップの図を復習しておきましょう。
トラップの役割
詳しくは過去の記事を読んでいただければと思いますが、洗面器の下の排水管とS型トラップが一体になっており、皆様のご家庭でもよく見かけるものです。管の中にこんな虫がいるかはわかりませんが、トラップ内に水(封水)が溜まっていることで機能し、排水側から臭気や虫が室内に侵入するのを防いでいることがわかると思います。
こうやってトラップと封水によって室内の衛生環境が守られているわけですが、「サイフォン現象」はそこに深く関ってきます。
サイフォン現象の正確な説明はとっても難しいのでここでは避けて、変わって日常のでの例を挙げて大まかに説明します。
例えばですが、多くの方は上記のような手動式のポンプを使って灯油をストーブのタンクに補充したりしたことがあるかと思います。
ポンプを何度か押して、ホースの先まで灯油が充満してタンクに落ち始めてしばらくしたら、後はタンク同士(水位)の高低差を保っておけば、勝手に灯油が低い方のタンクにどんどん流れていってくれる便利なアイテムですよね。
これはサイフォンの原理を利用したものです。
サイフォン現象によるメリットとデメリット
S型トラップではサイフォン作用によってトラップ内に溜まったゴミを流し出してくれるというメリットもある反面、破封しやすいという弱点があります。
*破封とは、トラップ内の水が無くなることによってトラップの機能が失われることをいいます。
また、逆サイフォン現象といって、S型トラップより下流側の排水管に水がまとまって流れた時に、排水管内に負圧が発生してS型トラップ内の封水が引っ張られてしまい、結果として破封してしまうこともあります。
破封が起こると、音や臭気などの問題が発生しますが、洗面台の蛇口をひねってある程度水を流してやることによって再度トラップ内に水を充填することができます。しかし、破封が度々起こる場合には、原因を突き止めて対策することが必要になります。
トラップの破封トラブルを防止するためには
こういった破封が起こらないようにするためには、以前の記事でも書きましたが、トラップにゴミが溜まらないように、洗面器にゴミや髪の毛が流れないようにヘアキャッチャーを取り付けたり、まめに清掃を行なうことが大切です。
メンテナンスをしっかり行なっているにもかかわらず、度々破封してしまう場合は、排水系統にトラブルが発生していたり、そもそも管径の選定ミスなど構造的に欠陥がある可能性もあります。
こういった場合には、専門家の出番になりますので、わたしたち住まいる水道のような水道屋さんに調査を依頼していただくことをお勧めします。
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