室内のパイプの水漏れを放っておくと、怖いのは床の腐敗と下層階への水漏れです。
「ちょっとだから」と、自分で応急処理をしたまま、水漏れしたまま水道を使い続けていると、気付かないうちに床下に水が流れ込んだり、木製の床を使用している場合は、床自体が腐りやすくなってしまう恐れがあります。
クッションフロアのように水に強い材質であればクッションフロア自体は大丈夫なのですが、水道器具があるのはキッチン、トイレ、洗面所、脱衣所なわけですから、きれいにクッションフロアの上に「水たまり」ができてくれるわけがありません。
殆どの場合は、クッションフロアと壁の隙間、もしくは流し台や洗面台の下の開口部から床下に水が流れ落ちていくことになります。
殆どの場合は水漏れに気付かないまま、被害が拡大してしまう
パイプの水漏れに気付くことができればまだ、事態はそれほど深刻にならずにすむかもしれませんが、家庭の中で給水や排水のパイプが見えているのは、ほんの一部分でしかありません。
床下に水気が溜まるようになると心配なのはシロアリ被害です。また、たとえ水漏れが滴るほどの少量であっても、長期化することで床下で使用している木材なども腐食しやすくなっていきます。
ただの木材で出来ているような床の場合は、水漏れを放っておくと、床の修理まで必要になるケースが多くなるので、一刻も早くプロの水道工事に修理をしてもらうことをお勧めします。
床が水で濡れてしまうと、カビやすくなったり、床が腐ったり、良いことが何もありません。
床の張り替えにかかる費用は?
ちなみにですが、床が張り替えになってしまった場合にかかる費用はいくらくらいなのでしょうか?
とあるリフォーム工事会社の相場を見てみますと、1平米あたりで2000~4000円の交換費用が発生するようです。
巾木が腐食した場合にも交換は可能で、こちらは1メートルで1000円以下で収まりますので、床の修理程の費用は発生しませんが、床の張替え工事もセットになってしまうとそこそこ高額な修理代になります。
賃貸物件の場合は、条件にもよりますが、賃借人の負担で修理をすることもありますので、管理会社の指定した業者に頼み、想定外の高額費用を請求されるケースもありますので、賃貸物件の人は早めに修理をお願いすることをお勧めします。
マンションでは、下層階で水漏れを起こしたり、床下に大量の水が溜まってしまうケースも
私がかつて行った水漏れの現場で、ものすごい量の水が床下に溜まっていたケースがありました。それは企業の単身者用のマンションタイプの寮だったのですが、管理人さんから「二階の部屋の玄関から水が漏れてきて、廊下に流れ出ている」との連絡が入って現場に急行しました。
不在だったその方の部屋の鍵を管理人さんが開けて入ってみると、玄関の土間と床のつなぎ目あたりから水が流れ出ていて、それが廊下まで流れていっていました。
床下での水漏れに間違いがないことは分かりましたが、問題はどこから漏れているのかです。最近の給水管は「サヤ管」と言って、ポリエチレンやポリブデンという材料が使用されており、非常にフレキシブルな配管が可能になっていますが、どう見ても築十年以上は過ぎていそうな建物。室内隠ぺい部の給水管は塩ビ管が使用されていることは間違いなさそうでした。
幸運だったのは単身者用のマンションだったことで、玄関のすぐ右前がミニキッチンで、キッチンの向いがトイレ・風呂・洗面がセットの三点ユニットバスで、奥の部屋には水道がなかったことでした。当然、ユニットバスを覗いてみても、水漏れが起こっている様子は見えません。キッチンも然りです。事件は床下で起きているのです。
まずはミニキッチンの下の扉を開きましたが、異常はなし。次に排水とキッチンの下の部分のつなぎ目の化粧プレートを外してライトで照らしてみると、水面の反射がキラリ。
何と、よくよく見てみると床下に10cmくらい水が溜まっているのです!!これで、水漏れは排水ではなくて給水であるという予想の確信が持てました。廊下に流れ出る水の量から判断すると、排水であれだけの流れができるのは考えづらかったからです。
原因が給水であれば、パイプスペースにあるバルブを閉めれば水漏れは止まるわけですが、ここで閉めてしまうと、水漏れの場所の特定が難しくなります。焦る気持ちを抑えながら、ミニキッチン下部の収納の中身を全部取り出し、奥の仕切り板を外しました。するとありました。キッチンの水栓の配管が立ち上がっており、その配管と止水栓のつなぎ目から水がチョロチョロと漏れていました。
その後、元栓を閉めて修理を行ったのは言うまでもありませんが、問題は床下に10cmも溜まった水をどうやって排水するかです。通常だったら溜まっているであろう水の量から判断すると、水中ポンプを使用するのが妥当でしたが、何せ水中ポンプはそこそこの大きさがあり、床を開口でもしない限りは設置が難しそうです。
しょうがないので、洗濯機で使用するお風呂の残り湯の汲み上げようのポンプを先程のキッチンの下のスペースから突っ込み、長めのホースを接続して外廊下の排水口に突っ込みました。排水しきるには時間が少々かかりましたが、殆どきれいに排水できました。後はしばらくはキッチン下の開口部を開けておいて、乾燥するまでそのままにしておいてもらうしかなさそうでした。
状況から判断すると、恐らく水漏れはかなり前から発生していたと思われるのですが、目には見えない部分であったために、床下に水が溜まりきるまで、住人も全く気付くことができませんでした。
幸いにも、床下から下の階への水漏れはなく、被害は拡大することなく収束したのでした。
最後に
このような事故は運が悪い部類のものかもしれませんが、定期的の水道メーターのコマを確認するなどして、水漏れがないか確認することで、発見を早めることも可能です。皆さま、ご注意下さい。